歌うように晴れたら 第2話
作者:ススキドミノ


【※最初に】
 本台本は有料上演配信使用権付き台本の販売がございませんので、基本的には読み合わせや友人同士の声劇などでお使いください。



登場人物
山口謙一郎(やまぐちけんいちろう):男子高校生。5組。男子バスケットボール部。
飯塚奏海(いいづかかなみ):女子高校生。5組。女子バスケットボール部。
深谷康生(ふかやこうせい):男子高校生。3組。男子バスケットボール部。




※2019年1月18日 台本使用規約改定(必読)




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 <体育館裏>

康生:ふえー、終わった終わったぁ……。

謙一郎:おう、お疲れ。

康生:この後、コーチ何か言ってた?

謙一郎:ランニング終わったやつから休んでて良いって。

康生:この後、体育館でまたフットワークだろぉ……?
   マジキツすぎ……。

謙一郎:うちの部は、走れるのが強みだし。

康生:……お。っていうか、今日のランニング、女バスも一緒じゃん。

謙一郎:ああ、そうだな。

康生:走ってんなぁー。

謙一郎:そうだな。

 <奏海はタオルで顔を拭きながら、二人の側を通りかかる>

奏海:山口と、深谷じゃん。そっか、男バスもランニング一緒だったんだ。

 <二人は奏海に気づかず、走っている部員達をじっと見つめている>

康生:なぁ、謙一郎。

謙一郎:何だ。

康生:うちの女バスの中で、一番魅力あんのって誰だと思う。

奏海:(二人を覗きながら)はぁ!? あいつら何話してんの!?

謙一郎:それ、どういう基準で?

康生:基準? って、例えば……顔が好きとか。
   あとは……でかいとか?

謙一郎:でかいって、何が?

康生:そりゃあ……アレだよ。

謙一郎:アレ……? ああ、アレか。

奏海:(呟く)ほんっと……! 男子ってどうしようもない……!

謙一郎:康生はどうなんだ?

康生:あー、そうなぁ。村上の雰囲気とかは、めっちゃ好み。

奏海:(呟く)小百合かぁ……人気あるなぁ……。

康生:ちなみに村上、結構な人数に告られてるらしいぜ。

謙一郎:そうなのか。

康生:謙一郎も村上みたいな、ザ・清楚って感じが好みなん?

謙一郎:俺は……元気な感じの女子が好みだ。

康生:ふーん。女バスの中だったら誰?

謙一郎:俺は、飯塚かな。

奏海:(呟く)……え?

康生:飯塚って、飯塚奏海?

謙一郎:そう。その飯塚。

奏海:(呟く)ええええ!? わ、私!?

康生:どういうとこが?

謙一郎:いつも周りに明るく声かけてるから、飯塚が居るだけで雰囲気が良いんだ。
    そういうところがすごく良いなって思う。

康生:へー、何かマジっぽい理由。ちなみに、他にもあんの?

謙一郎:他にか……。

奏海:(呟く)ま、まずい……! このまま盗み聞きは絶対なんかまずい!

 <奏海は二人の前に駆け込む>

奏海:ちょっと!

康生:……あ。

謙一郎:……飯塚?

奏海:あ、あの……! 良くない!

康生:……何が?

奏海:だからぁ! その……! 女バスの誰がどうとか言うの!

康生:は? もしかして、聞いてたのか?

謙一郎:それって、どこまで――

奏海:いや! それは! あれよ!
   さっきほら! 女バスの、アレがでかいとかなんとか言ってたのが聞こえた!

 間

康生:あのさ、俺達が言うようなことじゃないかもしんないけど……。

奏海:……え?

謙一郎:いや……そんな大声でいうことじゃないと思うぞ。

奏海:い、いやぁ……! でもそれは……! 聞こえたからぁ……!

謙一郎:いや、言ったのは俺達だし……。
    ていうか、失礼な話だったよな。ごめん。

奏海:い、いいよ。怒ってるとかじゃないし……。

康生:っていうかさ、女子はそういう話しないん?

奏海:そういう話って……?

康生:ほら、男子がどうのこうのとか。

奏海:え? ああ……いや……。
   他の子はその、話してたりするけどさ……。

謙一郎:飯塚はしないのか? そういう話。

奏海:私はさぁ、何か……そういう話に、混ぜてもらえないっていうか……。

康生:……え、いじめられてる?

奏海:そうじゃないけど! なんかキャラ的にっていうか……!

謙一郎:確かに。何か飯塚って可愛がられてるっていうか。
    女子達の中で、妹ポジションみたいな感じだよな。

奏海:そう! そうなんだよ! みんな、私には早いーみたいなこと言うからさぁ!

康生:へえー……謙一郎は飯塚のことよく見てるねぇ。

謙一郎:まあな。クラスでも目立つし。

奏海:そ、そう、かな……。

康生:飯塚は気になる男子とかいんの?

奏海:はぁ!? ななな何でそんなこと……!

康生:話の流れだよ。

謙一郎:それ、普通に気になるな。

康生:ちなみに男バスの中だったら誰が良い?

奏海:ちょ、待って! そんな急に言われてもさぁ!

 <奏海は謙一郎を見て、俯く>

奏海:わ、私にはまだ……早いかもしれない!

 間

康生:なんか……悪かったわ。

奏海:憐れむような目を向けるな!

謙一郎:康生。そろそろ体育館戻るみたいだぞ。

康生:へいへい。んじゃ、頑張りますかー。

謙一郎:飯塚も、練習頑張ろうな。

奏海:う、うん。そうだね。私も戻らないと。

謙一郎:あ、そうだ。

 <謙一郎は奏海の耳に顔を寄せる>

謙一郎:……俺、さっきの話してるときさ。
    飯塚が居るの、気づいてた。

奏海:え……?

謙一郎:冗談っぽく聞こえたかもしれないけど……。
    俺、本気だから。今度、ちゃんと言うわ。

康生:おーい、謙一郎。遅れるとペナ食らうぞー。

謙一郎:おう。今行く。

 <二人が去ったあと、奏海はその場に座り込む>

奏海:……え? 何、今の……。

 間

奏海:やば……! 顔、あっつ……!




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