老兵と射的屋
作者:domino


男♂
射的屋♂敵兵と兼ね役
テッド♂
ジム♂
シルビア♀





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 とある国の夏祭り会場。
 スーツにステッキ姿の老人が一人歩いている。


男:相も変わらずそうぞうしいな……この国の催しは。
  これを、"風流"というのだったか。
  (深呼吸)つくづく不思議だ、この国は……。 


 老人は一人、祭り囃しの中を歩いていく。


的屋:いらっしゃい! いらっしゃい! たのしい射的ゲームだよ!    1回4発で200円! 挑戦者はいないか! 

男:射的……。 

的屋:落とした商品は全部もっていってくれて構わないよ!    さぁ! 狙った狙ったぁ! 

男:どうも。

的屋:ん? なんだいじーさん。

男:これは、その銃であの商品を狙うゲームかな。

的屋:なんだ、射的知らねえのか?
   その通り! このコルク鉄砲で、あそこの商品を狙うんだ。
   当たって土台から落とせば、あんたのもんだ。簡単だろ。

男:狙うか、フフフ、簡単そうなものだが。 

的屋:オイ、じーさん。随分な自信じゃねぇか。 
   そんなこと言われちゃ、俺も黙っていらんねえぜ?
   さ、遊んでけよ! 簡単かどうか試してみるといい。 

男:好戦的だね、お若い人。だが、その血の気の多さは嫌いじゃない。 

的屋:そいつはどうも! で、どうする。やるのか?やらないのか? 

男:勝負は逃げない。男の常識だ。 

的屋:へえ、歳の割に話がわかるじゃねぇか 

男:ああ、頭の柔らかい老人だと評判だ。 

的屋:ははは! きちっとスーツ着こんで祭りにくるやつが良く言うぜ。 

男:まいったな。若いころはユーモア自慢だったんだんだが、
  最近では中々周りの人間が肩の力を抜かせてくれないんだ。
  しかし、このままでは面白くない。
  どうだい、賭けをしないか。 

的屋:へへ、勝負は逃げない。男の常識だろ!
   で、どう賭ける? 

男:そうだな……私は、このコルク1発につき200円を払おう。
  その代わり何かを落とせたらその分のゲーム代は無し、これでどうだ。 

的屋:オイ、それじゃああんたに不利すぎやしねぇか。 

男:ただで商品をもらい放題、これほどおいしい賭けはあるまいよ 

的屋:なるほど……そんじゃ、あんたにはそのわけのわからない自信に賭けてもらうとするかね 

男:フフ、望むところだ。 

的屋:しかしあんた。みたところ随分といい歳だろう。
   大丈夫か? この銃、おもちゃとはいえちと重いぜ? 

男:銃の扱いには心得がある。心配には及ばないさ。

的屋:良く言った!
   それじゃ、お手並み拝見といこうじゃねぇか。


 老人はステッキを近くの木に立てかけると、ハットをその上に引っ掛ける。


的屋:さ、準備はいいか? よーく狙えよ! 





 崩れかけの廃墟、鳴り止まぬ銃撃音の最中。
 若い男と3人の兵士が身を屈めている。


ジム:来るぞ! 銃撃だ! おい!    隊長、何ボーっとしてやがるんですか! 

男:あ、ああ! すまない! 

ジム:おいおい、しっかりしてください!
   隊長殿の指示が頼みの綱なんですから! 

シルビア:まだ本部とは連絡はとれませんか!

男:仕方がない! 銃撃が切れたタイミングで一度下がる!

ジム・シルビア:了解!

ジム:おい! テディ"ベア"は平気か! 

テッド:は、はい! 大丈夫です! 

ジム:そんだけ震えながら良くいうぜ!
   ったく、なにが悲しくてお前みたいな腰抜けお坊ちゃまと前線に! 

男:ジム! チームメイトへの暴言は禁止したはずだが!

シルビア:隊長、その男に何をいっても無駄です!
     頭の中は卑猥な言葉とポルノ雑誌で埋まっているのですから! 

ジム:このクソ女! ヤられてぇか! 

シルビア:ひどい侮辱です! 隊長、この男を銃殺する許可を!

男:ははは! 許可しよう!

ジム:おいおい! 勘弁してくれよ!

シルビア:『窮地に立ったときこそユーモアを忘れるな』
     私はあまり上手くないですが!

男:そんなことはない、シルビア! 最初に比べれば随分と上達した!

ジム:『ユーモア……私が女性だからといって舐めないで頂きたい』 
   なんつっててよお! なんだこの女、って皆で腹抱えて笑ったぜ!

シルビア:隊長、この男を銃殺する許可を!

男:許可しよう!
ジム:おい! マジで銃口むけんな! ……ん?

 間

シルビア:銃撃が……止んだ……。

テッド:隊長! 敵軍が何かいっています! 


敵兵(的屋)『……軍に告ぐ!一二○○(ヒトフタマルマル)に、この地域一帯に空爆を開始する!
      空爆開始時刻までにすみやかに武装解除を行い、投降せよ! 繰り返す――』


ジム:いよいよ敵さんも本気ってわけか……。 

シルビア:どうしますか? 隊長。 

男:地域一帯の空爆では、まず生き残れないだろうな。 

テッド:じゃあ! 投降を……! 

男:ここは前線だぞ。武装解除した時点で、蜂の巣だ。 

テッド:そ、そんな……! 

ジム:八方塞がりかよ! 

男:西ならまだ包囲網が薄い、幸い友軍もまだ生き残って交戦している。
  上手く合流できれば、あるいは。 

ジム:逃げ切れるかもしれねぇってことですね。 

男:ついてきてくれるか? 

ジム:当然! 

シルビア:もちろんです。 

テッド:…………。 

男:テディ……?どうした。 

ジム:おいおい……テディ"ベア"ちゃんよ。こんなとこにいたって持ち主はきちゃくれねぇぜ? 

テッド:――うるさい! 

ジム:なっ! てめぇ!! 

男:落ち着かないか! ……テディ、どうした。 

テッド:……いやですよ。見たでしょう!?あの敵の数を!
    いくら西の包囲が薄いっていったって突破できるわけがないじゃないですか!
    どうせ死ぬんなら、少しでも長く生きた方がいいです!だから……俺はここで空爆を待ちます……。 

男:そうか、わかった 


 男、テッドに銃を突きつける。


ジム:隊長!! 

男:テッド・ウィルソン二等兵。選べ。私達と来るか……それともここで私に殺されるか。

シルビア:隊長!何を…… 

男:いいか、テディ。私は隊長だ。君達の隊長なんだ。
  死ぬとわかっている場所に君だけをおいていくわけにはいかない。
  少しでも生きる可能性がある方向へ、君達を導いていかなければならないんだ。 

テッド:………… 

男:どっちだ二等兵! 選べ! 


 間


テッド:行きます。 

男:スペルが違うな。"行く"ではなく"生く"だ 

テッド:ふ、ふふ……。その冗談は、笑える 

男:時間は迫っているんだ、準備をしろ。引くぞ。 

ジム:ほら、立てよ! ……テディ。 

テッド:あ……ありがとうございます! 

男:よし。皆、生くぞ! 





 射的屋、おもちゃの銃を構える老人。
 その構えを見て口笛をふく的屋。


的屋:様になってるなぁ、あんた。

男:お世辞でもうれしいよ、ありがとう。

的屋:あんた、暗がりで気づかなかったけど、外人さんか。

男:その表現は余り好かんね。

的屋:いや、気分を悪くしたなら謝る。別にそれがなにってわけじゃねえよ。
   しかし、いやにこの国の言葉がうめぇなぁと思ってさ。 

男:この国には終戦してから良く来るようになったからね。
  自然と覚えたのさ。

的屋:へぇ! じゃあなにか!
   つまりあんたは戦争で、この国と戦った兵士さんか何かか。 

男:……どうしてそう思うんだい。 

的屋:なんとなくよ、なんとなく。
   うちの爺ちゃんもさ、戦争から帰った後で戦った相手の国を見にいったらしいんだよ。

男:どうしてかは、きいたかな。 

的屋:喧嘩の相手もしらねぇんじゃ気持ちわりぃからっつってたぜ。
   はは、やんちゃな爺さんだからさ!
   あんまあてになんねえよな!

男:いや、そうでもない。是非、一緒にお茶をしたい。

的屋:残念だが、今は墓ん中だよ。    ま、祭り好きだから、今日もどっかで化けてでてるかもしれねえけどな。

男:ははは! それだよ、それがジョークだ。いや、君は面白い。

的屋:ありがとさん。それで、結局正解は。 

男:その通り、私は戦争にいって、この国と戦ったんだ。

的屋:退役軍人か、自信があるわけだ!
   こいつは、分のわるい賭けになっちまったかな。 

男:フフ、今更遅いさ。 





 基地の寝室にて。
 横になるジムとシルビア。
 一人明かりを点け本を読むテッドの元に、男が近寄る。


男:まだ本を読んでいるのか、テディ。明日には前線行きだぞ。 

ジム:たいちょー、そいつ何とかしてください。俺がどんだけいったって聞きやしねぇんですもん 

シルビア:隊長……不本意ながら私もこの男に同感です。明日に備えて休みたいのですが、こう明かりを灯されては。 

男:テディ、何を読んでいる。 

テッド:え? 


 ジム、テッドの手から本を奪い取る。


ジム:おいおい。こりゃ敵国兵の手記じゃねぇか! 

テッド:か、返してください! 

ジム:お前……こんなもんどこで拾ったんだよ? 

テッド:戦場の跡地を探索したときに……。 

男:ウィルソン二等兵、見つけた敵国のものは全て軍に提出しなければならない。わかるな。 

テッド:はい 

男:これは立派な軍規違反だ。それもわかるな。 

テッド:はい 

男:ならば何故、こんなことをした! 

テッド:……それは……その。 

ジム:冗談じゃねぇぜ! ただのチキン野郎ならともかく軍規違反だぁ!?
   やってられっかよ! 

シルビア:あなたは黙っていてください。 

ジム:けっ! 呆れかえってもういう事なんかねーぜ 


 ジムはそういってベッドに横になる。
 シルビアはそっとテッドに歩み寄った。


シルビア:知りたいという気持ちは、私にもあります。 

男:知りたい? 何の事だ。

シルビア:貴方は純粋に知りたかったんじゃないですか。
     今戦っている相手のことを。
     これから殺すかもしれない、殺されるかもしれない相手のことを。
     少なくとも私は、そんなことを考えたりもするんです。
     そして、敵国兵の手記を拾ったとしたら、持ち帰る理由はそれ以外にない。

テッド:……。

男:テディ。説明しろ。

テッド:……アルサン伍長の言う通りです。
    僕は、相手の事が気になってしまいました。

男:(溜息)そうか。お前はそういうやつだったな。   それで、その手記は他国語で書いてあるのだろう。読めるのか。 

テッド:それが……初めてみたものですから。 

シルビア:少しなら、読めます。 

男:ああ、確かお前は――

シルビア:うちは宿でしたから。
     隊長……いいでしょうか。

男:明日が戦線だというのに、うちの隊は呑気なものだな。
  もういい。少しだけ読んで聞かせろ伍長。その後私が没収する。
シルビア:了解。それでは……どうやら詩に近いようですが。


敵兵(的屋)
『夢にみるのは故郷を 踏んで歩く小さな我が背  母の顔をかえり見て 手を振る妹の頬を撫ぜ   帰りたいと願ううち 何故だか喉が渇く夜を
 越えてみせよと奮い立ち 日の元帰る時を待つ』



テッド:アルサン伍長……ありがとうございます。
    みなさん、申し訳ありませんでした。

シルビア:……寝ましょう。死んでしまったら何も残らないんですから。 

ジム:女の癖してカッコつけやがって……。

シルビア:まだ生きていたんですか、口が無いから死んだのかと思いました。

ジム:てめぇ! 縁起でもねぇこというな! 

シルビア:死んだふりだけは上手なんですから、貴方はきっと生き残りますよ。

ジム:てめぇこそ、その減らず口で、敵兵たぶらかしてでもうまいこと生き延びるだろうさ。

テッド:2人とも素直じゃないな……。 

男:消灯するぞ。テッド・ウィルソン二等兵は罰として兵舎を20周。
  さあ行け。

テッド:了解!





 射的屋、狙いを定める老人。
 それをしげしげと見つめる的屋。


的屋:それで、最初は何を狙うんだ? 

男:そうだな、リハビリを兼ねて簡単なものから狙うかな。 

的屋:ふふん! うちの商品に簡単なものなんてあるかよ! 

男:もう一度聞くが、細工はしてないんだろうね。 

的屋:当たり前だろ。俺はクリーンな射的屋さんなんだよ 

男:フフ、それは疑って悪かった。 

的屋:いいってことよ、金さえ置いていってくれればな。 

男:……君を見ているとある男を思い出すよ。 

的屋:ある男だぁ? 

男:ああ……まるであのライターのような。


 男はそういうとライターを打ち落とす。


的屋:げっ!ほんとに落としやがった…… 





 包囲網、西側。

 銃声

ジム:……グッ! 


 敵の弾を足に受け。
 一人倒れるジム。


テッド:バッグス軍曹! 

ジム:止まるな! スナイパーだ! 

男:全員今すぐ近くの建物に飛び込め! 



 ジム以外は近場の建物に飛び込む。


男:ジム! 大丈夫か! 

ジム:大丈夫です! 足に掠っただけです! 

シルビア:早く建物の中に隠れなさい! 

ジム:んなこといわれなくたってわかってるっつの! 


 ジムも別の建物に飛び込む。
 男、無線を手に取る。


男:ジム! 聞こえるかっ! 応答しろ! 




 ジムのいる建物。
 息を乱れさせながら銃を構えるジム、その正面には同じく銃を構える3人の敵兵。


ジム:まいったね、こりゃあ 

敵兵(的屋):武器を捨てて、床に伏せるんだ! 

ジム:あー……こういう時こそユーモアだっけか。 

敵兵:武器を捨てて、床に伏せるんだ! 

ジム:やぁ敵兵諸君! ちっさいって聞いてたけど、立派な銃を持ってるじゃないか! 
   ええ? それで一体何人俺の仲間をヤったってんだよ、このクソ野郎が!
   ああ!?

敵兵:武器を捨てて、床に伏せろ! 

ジム:クソッ! 何いってっかわかんねぇんだよテメェら! 

敵兵:抵抗する気なら発砲する! 

ジム:ごちゃごちゃうるせぇ! 

敵兵:10数える! その間に武装解除に応じないのなら発砲する! 

敵兵:10!9!8!7!6!5!4!3!2!1!0! (ジムのセリフと同時進行でカウントダウン)

ジム:おい……おいおいおい!……何数えてやがんだよコラ!
   やめろよ!やめろっつってんだろうが!
   ふざけんな! くそっ! くそっ! クソ野郎どもめ!
   くそおおおおおお! 





 射的屋にて、撃ち取ったライターをつける男。


男:このライター、オイルが満タンではないようだが。 

的屋:そりゃあ……あれだ。俺がちょっと使っちまってな。 

男:クリーンな射的屋さんじゃなかったのか? 

的屋:あーもう! わかったよ! 新品のオイルもつけてやるよ! 

男:そうしてもらおう。

的屋:意外とがめついのな……あんた。 

男:もらえるものはもらっておく主義だ。 

的屋:ったく……それで?リハビリは終わったのか?凄腕兵士さん 

男:フフ、そう拗ねるな。
  では……次はあれでも頂こうか。

的屋:キャラメル? 

男:意外かな? 

的屋:いや、キャラメルは好きだぜ。悪くないチョイスだ。 

男:私はね、苦手なんだ。キャラメルが 





 包囲網、西側。
 廃墟の裏側に身を預ける男達。


テッド:はぁ……はぁ…… 

男:大丈夫か?テディ 

テッド:大丈夫なわけないでしょう!ジムさんが……! 

シルビア:あの男が! 


 シルビアはテッドの胸倉を掴む。


シルビア:あの男が! どうしたっていうんですか? 

テッド:シルビア……さん……! 

シルビア:殺したって、死なない男です! 

男:シルビア! 離せ。 


 シルビアはゆっくりとテッドの胸倉を離す。


テッド:(せき込む) 

シルビア:申し訳、ありません。 

男:少し休んだら進むぞ。 


 床に座り込むテッド。


テッド:俺……人を撃ちました 

男:今考えることじゃない。落ち着けばいずれ、答えも出るだろう。

テッド:……そんなもんなんですね 


 一呼吸置いた後、テッドは膝を抱える。


テッド:もう嫌です……これ以上何もしたくない……。
    殺したくない……殺されたくない…… 

男:ウィルソン! 弱音を吐くのもいい加減にしろ! 

シルビア:隊長、私が。


 シルビアはテッドの傍にしゃがみ込むと、バックパックから小さな箱を取り出す。


シルビア:これを。 

テッド:……これは……。 

シルビア:キャラメルです。
     甘いものを食べれば少しは気力も出るはずです 

テッド:……ありがとうございます 

シルビア:隊長も。

男:ああ……頂こう。


 テッドはキャラメルキャンディを口に含む。


シルビア:殺した敵兵の顔を見ましたか。
     恐怖。恐怖です。きっと私達も同じ顔をしている。
     
     私達は生きている。まだこの戦場で立っている。
     これが何を意味しているのか。
テッド:……。 

シルビア:彼らだって貴方と同じ、生きて帰りたくて、だから戦っている。
     そんな彼らの命を奪った貴方が、膝を折って、不幸を嘆いて。
     恥を知りなさい。そして、泥にまみれて生きて帰りなさい。
     それが今、貴方がするべきただ一つのことです 

男:もう……立てるな? テディ。 

テッド:……はい 


 突如、敵兵の足音が響いてくる。


男:……足音……裏手か。 

シルビア:私が先行します 

男:よし、私が背後を固める、テディはシルビアの援護を 

テッド:了解! 





 射的屋、袋いっぱいの景品を持った男。
 それを呆れ顔で見る的屋。
 辺りには野次馬が集まりだしている。


的屋:……ハズレクジにも程があるぜ。 

男:ギャラリーがいると、余計に調子が良くなる。 

的屋:ははは、調子乗りのじーさんか! 

男:ではそろそろ、ショーの締めといこう。 

的屋:あーそうかい!もうとっとと撃っちまってくれや! 

男:ふふ……テディベア……か。 





 包囲網、西側。
 男の肩を担いで走るテッド。


テッド:(荒い息) 

男:テディ、シルビアは、どうした 

テッド:シルビアさんは、敵に、降伏して、捕虜に、なりました! 

男:そう、か 

テッド:生きて、いるなら、それで、いいです! 

男:そうだな、、、なぁ、テディ 

テッド:なん、ですか、隊長! 

男:私は、意外と、体重に、悩んでいて、な 

テッド:突然、ですね 

男:よく、妻に、怒られて、いたんだが、帰ったら、褒めて、もらえ、そうだよ 

テッド:なんで、ですか? 

男:血が無い分、痩せた 


 テッドは立ち止まる。
 男、力なく地面に膝をつく。


テッド:た、隊長?それって、どういう意味で? 

男:笑ってくれないか?私の、最後の冗談だ 

テッド:笑えないですよ、隊長……全然笑えない! 

男:はは、お前は、笑いに厳しすぎる 

テッド:隊長の冗談がつまらないんです!行きますよ!すぐそこで友軍が交戦しているんです!合流しましょう! 

男:私を……置いていけ 

テッド:嫌です! 

男:テッド・ウィルソン二等兵!……命令だ……! 

テッド:拒否します! 

男:貴様は軍人だろう……!もう一度私に銃を向けさせる気か……! 

テッド:隊長……! 


男はテッドの腕を掴む。


男:テディ、お前は"ベア"だ、きっと、強い男になる 

テッド:やめてください!……俺は"テディベア"ですから、誰かに守ってもらわないとダメなんです…… 

男:はは、素敵な、冗談だ 

テッド:ええ、ユーモアには自信がありますから 





 射的屋、新しい商品を並べる的屋。


的屋:完敗だよ! まさか、ここまでやるとは思わなかったぜ。 
   大赤字だ! 親父にぶん殴られちまうよ!

男:君がクリーンな射的屋さんだったおかげさ。
  ただ、人を騙すことも覚えたほうがいいがね。

的屋:とんだタヌキ爺だったってわけだ。 

男:たぬき? 私は、ただのテディベアさ。 

的屋:ははは! ユーモア自慢だったってのには同意しておいてやるよ!
   熊爺さん!

男:いや……中々に良い夜だった。 
  それでは私はこれで。

的屋:あばよ! 二度と来んな! 

男:ははは、そうだな来年また。 

的屋:ははは! 待ってるぜ!

 老人、ステッキとハットを持つと、再び喧噪の中へ入っていく。


男:さて、このテディベア……どうしようか。孫のお土産にでもしようかな 


 遠くで的屋の声が響く。


的屋:いらっしゃい! いらっしゃい! たのしい射的ゲームだよ!    1回4発で200円! 爺さんにだって落とせるよ!



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