ギルクライム 第7話
作者:ススキドミノ
【※最初に】
本台本は有料上演配信使用権付き台本の販売がございませんので、基本的には読み合わせや友人同士の声劇などでお使いください。
登場人物
グレイ=ラッド:男性。盗賊。
フランツ=グレイヴ:男性。双子の詐欺師。
ミリア=グレイヴ:女性。双子の詐欺師。
ジーク=キリアン:男性。企業犯罪者。
ルビア=ルール―:女性。犯罪者専門の情報屋。
※2019年1月18日 台本使用規約改定(必読)
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<ソムニシティ・街中のピザ屋>
グレイ:おう、お揃いか。
ルビア:グレイ! 遅いじゃーん!
フランツ:僕達もさっき来たところだよ。
ミリア:本当は結構待ったんだけれど、社交辞令ってやつね。
ジーク:グレイは色々とタスクが多かったからね。
仕方がないさ。
グレイ:お、ピザ!
ルビア:行儀わるーい。
フランツ:全員揃ったことだし、始めようか。
<全員、ソーダの入ったカップを持ち上げる>
ジーク:みんな、お疲れ様。
フランツ:素晴らしい経験に。
ミリア:甘いソーダに。
ルビア:美味しい空気に!
グレイ:ジャンクなピザに。
ジーク:結局、チェルシー=リンはどうだったのかな。グレイ。
グレイ:惜しいところまでは言ってたぜ。
ルビア:えー! あんなにヒントを出したのに。
ミリア:貴方はヒントを出しすぎよ、ルビー。
フランツ:難しい問題だったのさ、彼女にとっては。
ジーク:前提として難しい問題ですからね。
自らの存在を疑うというのは。
ミリア:リバースインダストリアルの研究は、総て失われたわけではない。
ルビア:研究は奪われ、ソムニシティの上層部で利用されることになる。
フランツ:最も重要だったのは、リバースインダストリアルが革新的な人工知能テクノロジーを開発していたこと。
ジーク:ソムニシティは技術的特異点――シンギュラリティによって、ソムニシティを世界の中心に据える計画を立てた。
グレイ:AIに負荷を掛け、思考能力や感情への理解を促し、人間へと近づけるために、俺達のような知能犯罪者が呼ばれた。
ルビア:私達の起こした事件を解決することができるかどうか。それが人工知能へ与えられたテスト。
フランツ:ソムニシティには、僕達が協力する代わりに、三つの願いを聞き入れてもらった。
ジーク:私達にとってはゲームでもあり、身柄を開放してもらえるいい機会だった。
グレイ:結局、チェルシーは俺達を超えることはなかった。
ミリア:チェルシーは人間を超えるにはほど遠かった。
フランツ:でも、努力はしてたよ。
ルビア:よく観察していたし、こちらの嘘は見抜かれていたかも。
グレイ:ちなみに、最後に合った時は、俺達を殺したいって言ってたぜ。
ジーク:それは、感情を持っていたということかな。
ルビア:私は、苦手だって言われたー! だから、全くダメってわけじゃないと思うけど。
グレイ:ソムニシティはまだAIの育成を諦める気はないみたいだぜ。
フランツ:また僕達が呼ばれるのかな?
ミリア:そうなら、また捕まるまで遊べるわね。
ルビア:えー!? 私はもう独房は嫌だよー!
ジーク:計画を立てるのも面倒ですし、しばらくはのんびりしたいものです。
グレイ:だったら、マジでソムニシティを奪いに行くか?
ジーク:それ、本気かい?
グレイ:ああ。上層部をそっくり殺しゃいい。
ミリア:グレイ、今回の計画で暗殺にでも目覚めた?
フランツ:残念だけど、僕は手を出す気はないよ。
ルビア:私もパース。死にたくないしー。
グレイ:おいおい……シャバに出た途端、腰抜けになったのかよ。
ジーク:そうはいうけど、ソムニシティには、ブギーが居るんだよ。
グレイ:あ……忘れてた。
ルビア:結局ブギーだけは、計画に乗らなかったよねー。
フランツ:ブギーはどこまでいってもブギーさ。
僕達には理解できない美意識で生きてるからね。
ミリア:私達が敵対したら、喜んで殺しにくるわ。
グレイ:あー、悪かったって……。
俺もやめとく。
<備え付けのテレビがニュースを報じる>
ルビア:あ。見て、あのニュース。
フランツ:チェルシー=リンが死体で見つかる――か。
グレイ:ブギーだな。
ジーク:殺しに飢えていたんだろう。
ミリア:チェルシー……残念だわ。
ルビア:本当。残酷なことするよねー。
グレイ:芸術家ってやつは、本当にわかんねえな。
フランツ:ブギーは殺し屋さ。
ルビア:それも、最高に狂ってる!
ミリア:ブギーが近くに居ないってだけで、ホッとしてしまう。
フランツ:そういえば……ソムニシティと契約した三つの報酬、何を要求したんだい?
ルビア:自由。
ミリア:幸福。
ジーク:そして、混沌。
グレイ:うげ……大体一緒だ、それ。
フランツ:僕達は、考えていることも似ているみたいだ。
ジーク:いいチームになれたということかな。
ルビア:ねえねえマイチーム! ピザ食べたらどうする?
グレイ:あ? そりゃ決まってんだろ。
<グレイはソーダを飲み干す>
グレイ:自由と、幸福と、混沌を謳歌しようぜ。
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