ギルクライム 第4話
作者:ススキドミノ


【※最初に】
 本台本は有料上演配信使用権付き台本の販売がございませんので、基本的には読み合わせや友人同士の声劇などでお使いください。



登場人物
チェルシー=リン:女性。ソムニシティ尋問官。
ルビア=ルール―:女性。犯罪者専門の情報屋。




※2019年1月18日 台本使用規約改定(必読)




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 <ソムニシティ刑務所・特別独房6号>

ルビア:待ってたよー!

チェルシー:……こんにちは。

ルビア:チェルシー=リンだー!
    本物だー! 本物ー!

チェルシー:ルビア=ルール―……犯罪者専門の情報屋。

ルビア:知っててくれてるー! 知ってることって大事だよー! うん!

チェルシー:他のギルクライマーと随分雰囲気が違いますね。

ルビア:えー? つまんないこといわないでよー。
    別の人間なんだからさぁ、同じなわけないじゃん!

チェルシー:それはそうですね。今回の依頼については?

ルビア:もちろん知ってるよー! 三つ、欲しい物くれるんでしょ?
    私も全然オッケー!

チェルシー:そうですか。早速見解をお聞かせいただけますか。

ルビア:うーん、そうだねえ。普段は聞きたいことに答えてたから、自主的に何か言うことってないんだけどぉ。

チェルシー:でしたら、他の三名の推理を補足できる情報等はありますか?

ルビア:そもそもさぁ、チェルシーちゃんは何が知りたいの?

チェルシー:私、ですか?

ルビア:チェルシーちゃんって、敏腕尋問官だよねえ。
    検挙率も高いし、ダントツで良い役職についてるし。

チェルシー:事実、私は優秀だと言われています。

ルビア:そういう人間って、総じてプライドが高いことが多いじゃない?
    なのに、知的犯罪者に助言を求めるっていうのが不思議っていうかー。

チェルシー:私は、事件を最適な形で解決したいだけです。

ルビア:ふぅん。本当にそれだけ?

チェルシー:ええ。それだけです。

ルビア:……そっかぁ。じゃあ、私もお仕事しなくちゃねー!

 <ルビアは資料を机に広げる>

ルビア:ジークが言う通り、この事件は一般大衆の中で起こってるねー。
    根底には、数年前に起こったある事件の存在がある。

チェルシー:その事件とは?

ルビア:ソムニシティの南側の工場の事故だよ。

チェルシー:リバースインダストリアルの事件ですね。

ルビア:そうそうー! 当時、四大企業に最も近い位置に居た新興企業、リバースインダストリアルの工場が爆散したやつ!
    あれって事故で片付いたけどぉ、実際は意図的に爆破されたんだよねぇ。

チェルシー:そんな事実は知りませんが。

ルビア:ありゃ? それって知ってるのに隠してる?
    それとも、本当に知らないわけ?

チェルシー:私は、知りませんよ。ルビア。

ルビア:ま、どっちでもいいや。気になるなら調べてみたら?
    四大企業が爆破に関与してたって証拠が、ごっそり消えてるはずだからー。

チェルシー:どうして、貴方がそれを知っているんですか?

ルビア:えー? 情報屋だから?

チェルシー:……続けてください。

ルビア:その爆破によって、リバースインダストリアルの研究者と、当時研究していた成果が吹き飛んだわけ。
    でも、その研究の一部は、このソムニシティを豊かにするものだったの。疑似マテリアルの製造ってやつ。

チェルシー:疑似マテリアル……代替原料の製造ですか。

ルビア:そのとーり。それによって、この街は潤うはずだったわけ。
    それを奪われて、怒るのってだーれだ!

チェルシー:ソムニシティに住む人々、ですか。

ルビア:ちょっと正解! 実際は、貧乏な人達だよー。

 <ルビアは資料を指差す>

ルビア:研究の発表に合わせて、リバースインダストリアルは工場の働き口を大量に用意してたんだ。
    しかも、給料もかなりよかったわけで。

チェルシー:それが、革命の火種となる。

ルビア:そゆことー!
    で、ここからは私からのサービス!

 <ルビアはチェルシーに歩み寄る>

ルビア:この事実に気づいている貧困層は少なかったはず。
    でも、何人かは気づいた。権力者ではなくても、優秀な人間が。

チェルシー:……そうですね。

ルビア:でも、人の頭は覗けないしー、優秀な人間かどうかなんて見分けようがないよねぇ?

チェルシー:はい。とても難しいと思います。

ルビア:ところがどっこい……いるじゃーん!
    権力者じゃなくて、とんでもなく優秀な人間。

チェルシー:それは一体――

ルビア:犯罪者。

チェルシー:つまり……あなた方、ギルクライマー。

ルビア:そうそう。私達の中の誰かが、この事件を起こしてるとしたら?

チェルシー:……この独房の中から、ですか。

ルビア:できないと思うー? チェルシーちゃん。

チェルシー:……あなた達なら、可能かもしれません。

ルビア:いーこいーこ! もちろんこれは、確定した話じゃないしー。
    私達の誰かじゃなくても、外には同じような犯罪者が隠れてるかもしれないってことー。

チェルシー:言いたいことはわかります。この革命は、ギルクライマーと並ぶほどの犯罪者が関わっている。

ルビア:時間だね……。また来てよー、チェルシーちゃん。

チェルシー:……あなたは、少し苦手です。失礼します。

 <チェルシーは独房を出ていく>

チェルシー:嫌われちゃったぁ……! でも、可愛いんだもんなぁ!
      これくらいのヒントはいいよね? ゲームなんだしー!





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