魔法少女キューティー☆ピーチ 第二話『恐怖!! 怪人ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世出現!!』
作者:紫檀

 =はじめに=
 この台本はコメディ台本です。
 台本中にある誤字や、脱字。説明不足な部分や、トンデモ展開も総て仕様です。
 真剣にやるとよりいっそう面白いかと思います。

 =ルール=
 ・ミュート禁止。笑い声もオンマイクで!



桃色 くるみ(ももいろ くるみ):才色兼備の女子高校生。校内でも絶大な人気を誇りファンクラブまで存在するとか。謙一に一途で乙女な一面も。しかし、実はその正体は正義のヒロイン、魔法少女キューティー☆ピーチ!愛と平和を守るため、日夜悪の組織と戦い続けている。決め台詞は『皆のハートにきゅーてぃくるん!!』(変身後に毎回言う)である。
多田野 謙一(ただの けんいち):ごく普通の男子高校生。くるみとラブラブ☆交際中。
萌黄 ひな(もえぎ ひな):中島銀太郎と同じ会社に勤務する新入社員のOL。中島銀太郎に淡い恋心を抱いている。その正体はくるみの隣町担当の魔法少女シャイニー☆レモン、永遠の17歳。決め台詞は『アナタの瞳にしゃいにんぐぅ!!』
中島 銀太郎(なかじま ぎんたろう):ごく普通のサラリーマン。40歳くらい。幸が薄そう。独身。
青天目 まり(なばため まり):魔法少女キューティー☆ピーチ第三話に出てくる。今回はいない。
ナレーション:ナレーションッ!!であるッ!!!

怪人ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世:怪人。



※2019年1月18日 台本使用規約改定(必読)




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N:何気ない日常、平和な日々…!

N:人々は気付かない!それらがあまりにも脆く!儚く!不安定な均衡の上で
  成り立っていることを…!

N:魔法少女キューティー☆ピーチ 第二話『恐怖!! 怪人ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世出現!!』



N:ここは桃色くるみ達が住む町の隣町、とある会社のオフィス内である。

N:黙々とした業務の忙(せわ)しさと静けさの中で、突如、課長とおぼしき男の怒号が響き渡った

上司:中島くん! なんだねこの報告書は!

銀太郎:は、はい! なんでしょうか…?

上司:だからね! 一体なんなんだねこの報告書は!!

銀太郎:はい! すみません!

上司:すみませんじゃないよ! まったくいい加減にしてくれないかな! なんなんだこの報告書は!

銀太郎:すみません! すぐ作り直しますんで…

上司:まったく頼むよ…! 君だってもういい年なんだから、こんなんじゃ困るよ! なんなんだ一体!

銀太郎:失礼しました!!

N:語気を荒げる上司に平謝りに謝る男、彼の名は中島銀太郎。入社20年目にして未だに平社員の、うだつの上がらないサラリーマンである。

N:だが、そんな銀太郎に熱い視線を注ぐ瞳があった

ひな:銀太郎さん…また怒られてる…

N:彼女の名は萌黄(もえぎ)ひな――

ひな:(食い気味に)私の名前は萌黄(もえぎ)ひな。中島銀太郎さんと同じ会社に勤務する社会人1年目のオフィスガール。しかし実はその正体はこの町の平和を守る正義の味方、決め台詞は『アナタの瞳にしゃいにんぐぅ!!』の魔法少女シャイニー☆レモンなのよ。でもこの事は皆には秘密☆ 特に私が絶賛片思い中の銀太郎さんには絶対にバレたくはないわ。だっていい歳して魔法少女とか普通に恥ずかしいし、変な恰好で戦ってる痛い女だって思われたくないんだから!

N:――で、あるッ!!



N:時は過ぎ…夜も更けた頃…

銀太郎:ふー、やっと終わったー

N:銀太郎が時計を見上げると、時刻は既に9時半を回っていた

銀太郎:また時間かかっちまったなあ。残業代出ないんだろうなあ

N:トントンと書類の束を整えるその手つきは、どこか悲しげであった

銀太郎:さて、帰るか。もう皆帰っちまったんだろうなあ

N:デスクの明かりを落とし、オフィスビルを後にする。そんな銀太郎の後を忍び足で尾行する人影があった

ひな:(小声で)まだいるんだなー、これが…

N:萌黄ひなである。魔法少女として鍛えられた洞察力と俊敏性を遺憾なく発揮し、銀太郎に一切気付かれることなく尾行していた。なお万が一姿を見られた時のためにフード、サングラス及びマスクを着用している

ひな:はぁ、銀太郎さんの後ろ姿…素敵

N:既にお気づきの方もいるかもしれないが、萌黄ひなは老け専である。40代はストライクゾーンの中では若めの年齢ではあるが、歳の割にくたびれた姿と微妙に渋い声、そしてそれとなく白髪の混じった髪色をしている銀太郎は割とドストライクであった

ひな:ああ…もっと近づきたい…! あわよくば匂いも嗅ぎたい…! きっとタバコ臭いんだろうな…休憩時間の度に喫煙所に行ってるし…だがそれがいい!

N:気持ち悪い欲望をあらわにしつつ、ひなは自分自身に言い聞かせる

ひな:でも、まだ駄目よひな。今は銀太郎さんの事をもっとよく知るためのリサーチの期間なんだから。彼を知り己を知れば、百戦して殆(あやう)からず。まずは情報収集に徹さなきゃ…!

N:なお行為自体はただのストーキングである

銀太郎:なんか視線を感じるなあ。まあ気のせいか

N:まさか職場の同僚に尾行されているなどとは露程(つゆほど)も思わず、呑気に帰路につく銀太郎。だがそんな銀太郎に、突如として試練は襲い掛かった!

不良:オイコラどこ見て歩いてんだテメェ!

銀太郎:え?

N:意外ッ! それは不良ッ!

不良:オイこらテメェ肩ぶつかっただろうがヨ! 慰謝料払えやコラ!

銀太郎:い、言いがかりはよしてくれよ

不良:口ごたえすんじゃねえコラァ!(殴る

銀太郎:ぐはー!

N:理不尽な暴力が銀太郎に襲い掛かる

不良:オラさっさと金出せや!(振りかぶる

銀太郎:ぐっ…!

N:その時、何者かが不良の手を掴んだ!

不良:あぁ!?

銀太郎:…! き、君は一体……

ひな:………

不良:なんだテメェこら……

N:当然腕を振りほどこうとする不良。しかしまもなく気付く…自身の腕が、まるで万力に挟まれているかのように微動だにしないということに

不良:なにィ!? なんだこのパワーは…!

ひな:おいてめえ

不良:お、女…!?

N:ゴリラの2倍に相当する握力で不良の腕を締め上げ、萌黄ひなはその耳元で囁いた

ひな:はやく失せろ。ガキが舐めてると潰すぞ

不良:ヒィッ!!

N:常人では到底耐えきれない殺気を受け、不良は全身の穴という穴から冷や汗を噴き出しながら逃げ去って行った

ひな:ふぅ……

銀太郎:あの…すみません

ひな:ひゃいっ!?

銀太郎:ありがとう…助けてもらって。何とお礼を言えばいいのか……うぐっ!(崩れ落ちる)

ひな:だ、大丈夫ですか!? ちょっと近くの公園で休みましょう



N:数刻後の近くの公園。そこには銀太郎を介抱する萌黄ひなの姿があった

ひな:打ちどころが少し悪かったみたいですね。でもしばらくすれば痛みも治まると思います

銀太郎:ああ、本当に助かったよ。ありがとう

ひな:いえいえ、そんな!

銀太郎:まさかとは思ったが女性の方だったんだね。みっともないところを見せてしまった…

ひな:結構ガタイのいい男の人だったんで、仕方ないですよ

銀太郎:…君は強いんだね。何か格闘技でもやっているのかい

ひな:え? あはは…まあちょっとだけ…

N:萌黄ひな、柔道五段である

ひな:趣味で…ほんのちょっとですね…

銀太郎:趣味かあ。すごいなあ

N:剣道は四段である

銀太郎:それに比べて……おじさん本当に情けないよ

ひな:そんなことは……

銀太郎:いいんだ気を使わなくて。俺はダメな大人だ。こんな歳になってもまだ平社員なんかやっている。これといって特技もなければ趣味もない。仕事は出来ないし、会社でも怒られてばかりの、情けないおじさんなんだ

ひな:でも……それでも!

銀太郎:ん?

ひな:おじさんが本当は優しい人だってこと! 誰かがちゃんと見てくれていると思います!

 間

銀太郎:えっと…お嬢さん、失礼だけどどこかで出会ったことが…?

ひな:あ…い、いえ! そんな気がしただけです! それでは私はこれで!

銀太郎:あ!

N:全速力でその場を去る萌黄ひな

銀太郎:…行ってしまったか。なんて素早い動きなんだ

N:公園のベンチに一人取り残されたサラリーマン銀太郎

銀太郎:しかしまさか…見ず知らずの少女に助けられた上に、激励までされてしまうとはな…。俺ももっと頑張らなきゃな…



N:一方その頃…八甲田山、山頂

くるみ:スコォォォ……、ゼェアッ!!!

N:桃色くるみ、17歳、冬

くるみ:コォォォ……ホォォォ……

N:己の肉体と魔力に限界を感じ、悩みに悩み抜いた結果、彼女が辿り着いた結果は

N:感謝であった

くるみ:ホワタァァアッ!!!

N:自分自身を育ててくれた魔法少女道への限りなく大きな恩、自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが

くるみ:シュコォォォォォォ……

N:一日一万回!! 感謝のポージング!!

くるみ:破ァッ!!!!!

N:気を整え、拝み、祈り、ポージングをする

くるみ:ダブルバイセップスッ!!!

N:一連の動作を一回こなすのに当初は5〜6秒、一万回をポージングし終えるまでに、初日は18時間以上を費やした

くるみ:サイドチェストッ!!!

N:ポージングを終えれば倒れるように寝る、起きてまたポージングを繰り返す日々

くるみ:アブドミナルアンドサイッ!!!

N:2週間が過ぎた頃、異変に気付く

くるみ:バックラットスプレッドッ!!!

N:一万回ポージングし終えても日が暮れていない!!

くるみ:モストマスキュラーッ!!

N:齢17を超えて完全に羽化する

N:感謝のポージング一万回、1時間を切る!!

くるみ:フロント……リラックス……(後光が差している)



N:場所は戻り、隣町

N:中島銀太郎、自宅

銀太郎:ただいまー……と言っても誰もいませんがね、はは

N:銀太郎はネクタイを解くと、冷蔵庫からビールを取り出し、ゴクゴク一気飲みした

銀太郎:ぷは〜、やっぱりしみるなぁ〜

N:段々と酔いが回ってくると、部長に怒られたことや不良に殴られたことを段々と思い出し、段々と気持ちが沈んでいく銀太郎であった

銀太郎:くっそー、腹いてえなぁ…

銀太郎:は〜、俺もあの女の子くらい強かったらな〜

銀太郎:俺に……力があれば……

怪人:力が欲しいか…

銀太郎:!? 誰だ!?

怪人:力が欲しいか…

銀太郎:!? 誰だ!?

怪人:ふふふ、そう驚くでない

N:突然、銀太郎の目の前にキモい見た目の怪人が姿を現す

銀太郎:ギャー!!! バケモノー!!!

N:錯乱し腰を抜かす銀太郎!

怪人:バケモノではない。我が名はベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世である

銀太郎:ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世!?

怪人:そうだ。お前に力を授けよう。代わりにお前は私の地球侵略を手伝うのだ

銀太郎:いや…そんな急に言われても…

怪人:この世界は間違っている。そうは思わないか

銀太郎:は?

怪人:(長いので面倒なら適当に飛ばしてください)膨張していくインターネット社会の中で人々は多様性に寛容になるどころか、むしろそれぞれの信仰を先鋭化させ、狭窄した正義感という名の悪意をお互いにぶつけあっている。百の善意よりも一の悪意に人は囚われ、心を狂わせる。今の世の人々の関係性の輪は、それぞれの人間が受け止めるにはあまりにも広大になりすぎたのだ

銀太郎:はぁ…?

怪人:つまりこの世界は間違っている。是正が必要だ

銀太郎:そうなんですか

怪人:力を手に入れれば、弱者を助けることが出来るぞ

銀太郎:ハッ…!

怪人:上司の横暴な振る舞いをやめさせることもできる

銀太郎:………

怪人:さあ、我と手を組み、世界を正しい形へと変えるのだ

銀太郎:いや……でも……

怪人:さあ!

N:怪人ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世は手から念動力のようなものを放ち、銀太郎を洗脳した

銀太郎:ハイ、ソウシマス

N:銀太郎、堕ちるッ!!



N:翌日、同隣町

N:駅前に、誰かと待ち合わせをしている萌黄ひなの姿があった

謙一:ごめーん、待ったー?

N:そこに現れる一人の男……そう! 多田野謙一(ただのけんいち)その人である!

ひな:説明しよう、多田野謙一さんは、私の住んでいる町の隣町を担当する魔法少女キューティー☆ピーチこと桃色くるみさんの彼氏さんなのだ。去年の魔法少女オフ会で出会って以来、お二人には時々恋愛や仕事のことで相談に乗って貰っているのよ

謙一:ごめーん、待ったー?

ひな:ううん、全然! あれ、くるみさんは?

謙一:実はくるみはしばらく修行に出ていて、東京にいないんですよね。そろそろ帰ってくる頃だと思うんですけど

ひな:そうだったのね!

謙一:それにしても、久しぶりですね萌黄さん

ひな:謙一くんもお久しぶりだね〜、元気にしてた? この間また怪人が出たって聞いたけど

謙一:ええまあなんとか。最近多いんですよね

ひな:確かに。そのこともあって修行に出たっていう感じなのかな、くるみさんは

謙一:そうですね。あとくるみより萌黄さんの方が年上なんですから、さん付けしなくても大丈夫ですよ。本人もなんだか気恥ずかしいって前に言ってたし

ひな:そんな! 魔法少女としてはくるみさんの方が遥かに先輩なんだよ! 呼び捨てなんて出来ないって〜!

N:ちなみに萌黄ひなは、桃色くるみがある日突然マスキュラーな肉体に変貌してしまった事をまだ知らない

ひな:でもあの強さと可愛さを完璧に備えたくるみさんのことだからな〜、きっとどんな怪人でも華麗に倒しちゃうんだろうな〜

謙一:うん、まあそんな感じですね

N:適当に雑談をしながら、二人は駅前の喫茶店へと向かった

謙一:ホットーヒー二つで。……それで、相談の内容というのは?

ひな:はい。それが……私の友達の話なんですけど……最近気になる人がいるみたいで……

謙一:(なるほど、自分の話だな)

ひな:その人のことを考えれば考えるほど胸がキュンキュンしてしまうみたいで…

謙一:なるほど

ひな:わた……その友達は一体どうすればいいんでしょうか!?

謙一:そうだな……やはり

ひな:ゴクリ……

謙一:素直に想いを伝えてみてはどうだろうか

ひな:ええっ!? それってつまり……

謙一:そうだ、告白だ

ひな:イヤァァァ!!! ムリデスヨォォォ!!!

謙一:何故だ

ひな:だって私まだ職場で一回も話しかけたことないんですよォォォ、そんな急には無理ですぅぅぅ

謙一:(私って言っちゃったよ)

ひな:それに向こうはもう勤続二十年のベテランさんなんですよぉ!! まだ入社したばかりでペーペーの私のことなんか覚えてすらいるかどうか…!

謙一:そもそもなんで好きになったんだ? 結構な歳の差だろ?

ひな:それは――

N:その時! 遠くの方から人々の悲鳴が上がった!

N:(モブ1)うわー!! 怪人が出たぞー!!

N:(モブ2)誰かー!! 助けてー!!

ひな:怪人!? こんな時に!?

謙一:大変だ…! すぐに行こう!!

N:二人は即座に席を立ち、会計を済ませてから現場へと急行した!



N:駅前の広くなっているところでは、銀太郎を引き連れた怪人ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世が暴れていた!

怪人:ゲハハハハ!! 愚かな人間どもめ! 我がゲセワナー光線を食らうがいい!!

銀太郎:クラウガイイーー

謙一:なんだアイツは!?

ひな:あいつは!? 怪人ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世!?

謙一:怪人ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世!?

ひな:巷ではデビル・ケツラーと呼ばれているわ!

謙一:デビル・ケツラー!?

怪人:ゲハハハ!! 俺のゲセワナー光線に触れたものはすぐにパケット定額サービスのデータ利用料が上限になり、通信速度制限に達してしまうのだ!!

謙一:なんて悪質なんだ!!

ひな:くっ……私の守るこの町で……勝手な真似はさせない!!

N:萌黄ひなは持っていたカバンから変身ステッキを取り出した!

ひな:魔法少女シャイニー☆レモン!! 変身ッ!!

N:萌黄ひなの全身から! まばゆい光が放たれる!

ひな:んっ!

N:胸を包み込むイエローのリボンッ!!

ひな:ふっ!

N:腰に巻きつくフリフリのスカートッ!!

ひな:あっ!

N:光とともに! プリプリの衣装が萌黄ひなの全身を装飾してゆく!!

ひな:はぁぁぁぁあっ!!

怪人:む………この魔力の流れは!

ひな:アナタの瞳に! しゃいにんぐぅ!

N:魔法少女シャイニー☆レモン!! 参上!!

ひな:さあ、悪行はそこまでよ! 怪人デビル・ケツラー!

怪人:貴様は! 魔法少女シャイニー☆レモン!

ひな:食らいなさい! シャイニー☆プリンセスアタック!

怪人:ぐぅ!! 思ったよりも駆けつけるのが早かったな!

ひな:当然よ! 私はこの町の平和を守る、魔法少女シャイニー☆レモンなんだから!

怪人:ふん、魔法少女だと? そこそこいい歳したオバサンではないか

ひな:オ…オバサン……? 取り消せよ……!! 今の言葉……!!

謙一:乗るな! ひな! 挑発だ!

ひな:食らえ! シャイニー☆バニシング・ジャッジメントッ!

怪人:かかったなアホが!!

ひな:なにィ!?

N:萌黄ひなの飛び蹴りが炸裂したかに見えたその時! 怪人ケツラーの腕がうねうねと触手状になり、ひなの両脚に絡みついた!

ひな:いやぁぁぁあ!! 気持ち悪い!!

怪人:ゲハハハハッ! 捕まえたぞ!

ひな:くっ! シャイニー☆エレクトロニクス!

N:萌黄ひなの全身から電撃が放たれるッ! だがッ…!

怪人:効かぬわァ!

N:怪人ケツラーは意にも介さず、萌黄ひなを投げ飛ばした!

ひな:ぐっ…はぁっ……!!!

N:萌黄ひなは高速で壁に激突し、あまりの激痛から苦悶の声を吐き出す

怪人:ゲハハハ……魔法少女シャイニー☆レモンよ……既に貴様の特性、弱点は調査済みだ。俺は自身の身体の性質を自在に操ることが出来る。ゆえに、全身を絶縁体に近づけることで貴様の電気攻撃を無効にしたッ!!

謙一:くっ…! やはりワナだったか!

怪人:さあシャイニー☆レモン…大人しく俺の刃の餌食になるがいい…

N:怪人ケツラーの腕が鋭利な刃物のような形へと変化していくッ!

謙一:くそ…! 大丈夫ですか! 萌黄さん!

ひな:ハァ…ハァ…、こうなったら…仕方ないわね…。奥の手を使わせてもらうわ…!

怪人:ほう……まだ諦めないとはな……見上げた根性だ

ひな:当然よ…! 誰がなんと言おうと…私はこの町の平和を守る魔法少女なんだから…!! シャイニー☆……グランドクロス……ブラスターキャノン……!!

謙一:凄い…なんだこの光は…! 大技じゃないか!

N:おびただしい量の光エネルギーがッ! 萌黄ひなの手元へと集められて行くッ!

ひな:はぁぁぁぁあッ……!!

怪人:クッ……フッフッフッ……ハッハッハッハッハァッ!!!

謙一:なにがおかしい! 怪人ベルファーム!

怪人:……その技も既にリサーチ済みだ。「エネルギーを貯めきるのに時間が掛かる」となァ!!!

ひな:……ッ!!

謙一:なに!? そうなのか!?

怪人:ああそうだ……しかもチャージ時間はその日の天候に左右される……。だから俺は今日という日を選んだのだ!! 天気予報で曇りのなァ!!!

謙一:なんだとォ!?

ひな:クッ……! まさかそこまで分析されていたなんて……!

怪人:だがまあ…面白い。時間もあるようだから少し遊んでやろう。おい、行け

銀太郎:ア……アアア……

ひな:ッ!! 銀太郎さんッ!!?

怪人:我がしもべよ…お前がその女にトドメを刺すのだ…

銀太郎:ウ…アア…

ひな:そんな!! なんで銀太郎さんが!!

謙一:は…! もしやこの人が萌黄さんが言っていた!?

怪人:そうだ。シャイニー☆レモンが密かに想いを寄せていた会社員だ。すでに我が術中に嵌めさせてもらった。心の隙に付け込んで利用させてもらったわけだ!

銀太郎:カユ……ウマ……

ひな:そんな…! 銀太郎さん…!

怪人:さあ! やれ!

銀太郎:うう……うう……

謙一:いや待て! これは!

銀太郎:ハッ!! ……私は……一体……この状況は?

怪人:なにィ…?

銀太郎:君は…! 確か、会社の!

ひな:銀太郎さん!

謙一:そうか…まだ洗脳は完全じゃなかったんだ…! 日頃から魔法少女である萌黄さんの近くにいた事で、魔力に対する耐性が出来ていたんだな!

銀太郎:思い出した! 俺は確か自宅で…! 怪人と契約を……世界を正しい形に戻すと……!

ひな:銀太郎さん! あなたは騙されているの! その怪人に利用されているのよ…!

銀太郎:………

怪人:フッ……無駄だ

銀太郎:萌黄ひなくん……だったかな……。すまない…俺は…

ひな:そんな……まさか……銀太郎さん…!

銀太郎:どうやら俺は、君とは敵同士の関係みたいだ

謙一:おい…! どういうことだってばよ…!

怪人:言ったはずだ。我はその男を利用したと。そして……その男も我を利用したのだ

ひな:嘘…そんな…

銀太郎:……

怪人:その男は二十年もの間献身的に会社に勤めたという…。だがその結果はどうだ? 誰に評価された? いつまで経っても昇進の目は無く平社員のまま、上司に怒鳴られる毎日。誰よりも正直であったがゆえに、やっとの思いで出した成果も同期や後輩に奪われ、無能としてさげすまれる。この世を憎む心が産まれないわけがなかろう!

ひな:……

怪人:だから我が目を付けたのだ。力を与えてやるとな。圧倒的な力があれば、お前自身の正義を執行することも出来ると。……自らの正義のため他の誰かを踏みつける……貴様ら人間どもがやっていることと同じなのだよ……!

銀太郎:そういうわけなんだ…。すまない、萌黄くん

謙一:……ッ! アンタは…!

銀太郎:俺は弱い人間だ……。愚直に、正直に生きてくることしかできなかった。他の誰かに殴られても、殴り返してやれるような勇気もなかった。どれだけ大事にしてきたものも、ひとつだって守ってやることは出来なかったんだ! だから欲しかったんだ!! 力が! 俺に力さえあれば! 立ち向かう勇気さえあれば! 俺は!!!

ひな:違う!!!!!

銀太郎:ッ……!!

ひな:違う! 違う! 違う違う違うッ!!!

N:少女は真っ直ぐと男を見つめる。涙の溜まったその瞳は、なによりも強い信念をもって、銀太郎を射抜いていた

ひな:貴方は弱い人間なんかじゃない! 貴方は! 愚かな人間なんかじゃない!

ひな:確かに不器用かも知れない……用量も悪いかも知れない……正直仕事はそんなに出来ないし、ミスも多いし、よく遅刻もするし、周りのOL友達も皆よく愚痴ってるし上司も半分諦めてるかも知れない……

謙一:そんなに酷いのか……

ひな:でも!! 私は知ってるんです!! 重そうな荷物を抱えたおばあさんがいたら、銀太郎さんは誰よりも真っ先に駆け寄って荷物を持ってあげる!!

銀太郎:……!!

ひな:道端で地図を開いて困っている外国の人がいたら、すぐに駆け寄って「俺が近くまで案内しましょうか」って聞くんです!!

謙一:萌黄さん……

ひな:入社したての新人が仕事でミスをしたら、たとえ同じ部署の後輩でなくても!! たまたまデスクが同じ階のOLってだけで!! 一緒に頭を下げに行ってくれるんですッ!!!

銀太郎:ハッ…! そうか……君は……あの時の……

ひな:遅刻が多いのだってッ!! 困っている人を見かけたらすぐに助けに行っちゃうからじゃないですかッ!! ミスが多いのだってッ!! ちょっと自分が関わっただけの他人のミスまでかばっちゃうからじゃないですかッ!! そんな……そんな人が……

銀太郎:……

ひな:そんな人が弱い人間だなんてッ!! 私は絶対に認めないッ!!

銀太郎:萌黄……ひなくん……

怪人:フンッ、演説は終わったかね。まったく呆れたものだ。感情が昂りすぎて光エネルギーの吸収が止まっているではないか。それに何を言い出すかと思えば、情に訴えるだけとはな。おい男、はやくトドメを刺さんか

銀太郎:………

怪人:なに、無理に殺さずともある程度ボコって戦闘不能にしてくれればそれでよい。勝利はもう目前だ。そしてこの町を足掛けとし、我と世界を征服するのだ

銀太郎:……………うるせぇよ

怪人:なんだと……貴様血迷ったか……

銀太郎:うるせぇって言ってんだ………!

ひな:銀太郎さん……

怪人:よくよく考えるのだ。お前このまま行くと一生ヒラの会社員だぞ。平凡なサラリーマンとして無能扱いされたまま人間の短い一生を終えるのか? ふんっ、馬鹿馬鹿しい。我に与(くみ)すれば金も女も名誉もすべてほしいままに出来るというのに――

銀太郎:サラリーマンを舐めんじゃねぇーーっ!! バカヤロォーーッ!!

N:男の顔から、既に迷いは消えていた

銀太郎:俺は……確かに弱い人間だ。不器用な愚か者だ。お前の言う通り、俺はこの社会が嫌いだ。世界が嫌いだ

怪人:……ならば何故――

銀太郎:だが今分かった!! 俺は!! テメェの方がもっと嫌いだァーーッ!!!

怪人:貴様……ッ!!

銀太郎:やるならやってやろうじゃねえか!! この子に手を出したきゃ、まず俺を殺していけーーッ!!

謙一:よく言ったぜオッサン……

銀太郎:き、君は!!

謙一:俺の名は多田野謙一……通りすがりの高校生さ。助太刀させてもらうぜ、オッサン

怪人:愚かな…愚かな人間どもが…。ならば望みくびり殺してくれる……ッ!!

N:怪人ケツラーの全身がッ! どんどんと鋭利な突起で覆われていくッ!

銀太郎:君! 危険だ! 下がりなさい!

謙一:おいおい、怪人相手に生身で啖呵切ったオッサンがよく言うぜ。まあ任せときな。萌黄さん!

ひな:へ?

謙一:シャイニー☆グランドクロス・ブラスターキャノン、まだ撃てそうか?

ひな:……! もちろんっ!

謙一:よーし、じゃあそのままチャージを続けてくれ、ここは俺とオッサンに任せな

ひな:了解したわ!

銀太郎:何か策があるのかね!?

謙一:ああ、俺たちが壁になる

銀太郎:馬鹿な!? 皆死ぬぞ!!

怪人:ゲハハハハハ! 皆殺しだァ!!

N:怪人ケツラーは既に形態変化を完了させているッ!

謙一:銀太郎さん、だっけ

銀太郎:あ、ああ……

謙一:死は避けられない

銀太郎:!?

謙一:あんたも死ぬし、俺だって死ぬ

怪人:死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええいッ!!!!!

謙一:皆いつか死ぬ

N:怪人の死の刃がッ!! 謙一と銀太郎に襲い掛かるッ!! その時ッ!!






謙一:だが今日じゃない

くるみ:ぬ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅぅぅうううう"う"う"る"ぅ"ぅぅぁぁぁあああ"あ"あ"あ"あ"!!!!!

怪人:なにぃッ!!?!?

N:上空から超音速で落下してきた物体がッ!! 怪人の刃をッ!! 阻んだッ!!!

怪人:き、貴様はァ!?

くるみ:魔法少女キューティー☆ピーチッ!! 推参ンンッ!!!

ひな:……!! まさかっ、くるみさん!?

銀太郎:どちら様!?

N:キューティー☆ピーチの鋼鉄の肉体と怪人デビル・ケツラーの鋭利な刃が、甲高い金属音を立てて鍔迫(つばぜ)り合った! そしてッ!!

くるみ:ズェアァッ!!!!

怪人:ぐぬぅおおおおッ!!?!?

N:くるみの圧倒的な膂力(りょりょく)によってッ!! 怪人は後方へと吹き飛ばされるッ!!

くるみ:ハァァァ"ァ"……

N:呼気とともにキューティー☆ピーチの口から蒸気が噴き上がる。よく見ると全身には薄く氷が張っており、成層圏から高速で降下してきた事実を伺わせていた

くるみ:ケンちゃんッ!! 大丈夫だったッ!!?

謙一:ああ。しっかり間に合ってるぜ、くるみ

銀太郎:あ…貴方は…一体!?

くるみ:通りすがりの魔法少女よ

銀太郎:そうか、魔法少女か

ひな:桃色くるみさん、ですよね?

くるみ:ええそうよ。お久しぶりね、萌黄ひなさん

ひな:やっぱり…! しばらく見ない間にかなりバンプアップされたんですね。というかもしかして性別変わってます?

くるみ:ふふ、色々あったのよ。魔法少女だからね

ひな:そっかぁ!

怪人:ふざけおってぇ…! どこが魔法少女だというのだ!

N:土煙の中から怪人デビラーが姿を現す

怪人:ふっ……だが貴様らのことは噂に聞いていたからな。今の技がキューティー☆ピーチの必殺奥義、「キューティー☆フロント・ダブル・バイセップス」であることは既に調査済みだ!

くるみ:……

銀太郎:大変だ! なんかもう対策されている感じだぞ!

謙一:……

怪人:食らえぇいッ!!

N:怪人デビケツから放たれた気持ち悪いウネウネがキューティー☆ピーチへと迫りくるッ!!

銀太郎:危ない! キューティー☆さん!

謙一:いや、心配ない

くるみ:キューティー☆……

怪人:ツッ!!!

くるみ:フロント・ダブル・バイセップスッ!!

怪人:グワァァァァァァアアアアッ!!!

N:キューティー☆ピーチのマッスルパワーに耐え切れず、怪人ケツラーはもういっかい吹き飛ばされるッ!!

銀太郎:!? 一体どういうことだ!? さっきと威力が全然違うぞ!!

くるみ:…先ほどのはフロント・ダブル・バイセップスではない

怪人:なにィ!?

くるみ:ただのセップスだ

怪人:そんな…馬鹿なァッ!?

銀太郎:凄い…圧倒している…!

くるみ:さあかかって来い。怪人ララーシュタイン24世ッ!

N:そのとき、突如沸騰した水のように怪人デビルの身体がボコボコしていく

怪人:………おのれぇ…おのれおのれおのれぇ!! トサカに来たぞォッ!!

銀太郎:な、なんだ!? 今度はヤツの身体が……膨らんでいる!?

謙一:くっ、まだ変身を残してたってわけか…

怪人:これは奥の手だったんだがなァ!! どうやら出し惜しみをしている暇はないようだッ!!

N:怪人の肉体が膨張し、禍々しい雰囲気になっていく!

怪人:ゲハハハハァッ!! 見よ! これが我が最終形態!! グランド・ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世の姿よォ!!

銀太郎:くそっ!! なんて強そうな見た目なんだ!! 一体どうするんだ謙一くん!?

謙一:いや、もう勝負はついたな

銀太郎:なんだって!?

怪人:ほほう、素直に負けを認めるというのか。よかろう、お前の命だけは見逃して――

謙一:いや、アンタの負けだ。怪人グランド・ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世

怪人:なんだと…?

N:怪人は気付いたッ!! キューティー☆ピーチが、シャイニー☆レモンを肩車していることにッ!!

くるみ:行くわよ、シャイニー☆レモン

ひな:はい! いつでも撃てます!

くるみ:ゼェアッ!!

N:キューティー☆ピーチは天高く飛び上がるとッ!! シャイニー☆レモンをさらに高く放り上げたッ!!

怪人:馬鹿な!! 曇りの日のシャイニー☆グランドクロス・ブラスターキャノンはもっとチャージ時間が必要なはず………ハッ!!?

N:意外ッ!! 空はもう晴れているッ!!

銀太郎:どういうことだ!?

謙一:さっきくるみが落ちてきた時ですよ、銀太郎さん

銀太郎:はっ、そうか!

謙一:ええ、くるみは成層圏から急降下することで、衝撃波で周囲の雲を吹き飛ばしたんです

ひな:お陰様で! 出力全開ですっ!!

N:怪人ゲセワナーを照準に捉えるシャイニー☆レモン!! しかし!!

くるみ:私を狙いなさい!! シャイニー☆レモン!!

N:シャイニー☆レモンの足下を滑空しているキューティー☆ピーチが声を張り上げる!

ひな:!! わかりました!!

N:すぐさまキューティー☆ピーチを照準に捉えなおす!

ひな:行きます!! シャイニー☆……グランドクロス・ブラスターキャノン!!

くるみ:ホワァァァアァアアッ!!

怪人:ゲハハハ! 血迷ったかキューティー☆ピーチ!

銀太郎:おい! 大丈夫なのか!?

謙一:まあ見ていてください

くるみ:ヌゥゥゥゥウウウウウンッ……!!

銀太郎:あ、あれは!?

ひな:凄い……私の光エネルギーを完全に吸収し、全身の筋肉に充満させている…!?

くるみ:ハァァァァァアアアアッ!!

謙一:最高に輝いてるぜ…くるみ

銀太郎:後光が差すとかいうレベルじゃないぞ…!

くるみ:ゼェァァァァアアアアアアアッ!!

N:さらにッ…! キューティー☆ピーチの上腕がしなやかな軌道を描きながらポージングを取っていくッ!

ひな:嘘…! 腕が…何本も…!?

謙一:そうか…高速でいくつものポージングを取ることで、まるで腕が分身しているかのように見えるんだ!

銀太郎:あれはまるで……千手観音……!

怪人:ば、馬鹿な…! そんなことが…!

くるみ:怪人ベルファームよ

怪人:……!!

くるみ:刮目して食らうがいい。我らが合体秘奥義……

N:すでにキューティー☆ピーチの表情に怒りは無く、その顔にはもはや慈愛までもが満ちていた

 ↓同時に
くるみ:キュゥゥゥティィィィィイイ☆ッ!!
ひな:シャイニーーーーーー☆ッ!!



 ↓輝きながら
くるみ: 観 音 菩 薩 千 頭 筋 蓮 華(フロント・センジュ・バイセップス)ッ ! ! ! ! ! ! ! ! !



N:千倍の威力に濃縮され放たれた二人の魔法少女による奥義

怪人:ああ、あれは……

N:もはや怪人は抵抗せず、光り輝くキューティー☆ピーチの姿を目に捉え続けていた

怪人:観音さまじゃあ……

N:そして…怪人ベルファーム・ゲセワナー・デビル・ケツラー・ギルティ・ララーシュタイン24世は、消滅した…



N:数日後、隣町

N:駅前の喫茶店で、多田野健一、萌黄ひな、中島銀太郎の三人が談笑している

銀太郎:いやー本当に、謙一くんやくるみさんには迷惑をかけてしまった。すまなかったね

謙一:いえいえ、俺は別になにも。むしろ一番頑張ったのは萌黄さんだと思いますよ

銀太郎:そうだね…。萌黄くんの説得がなかったら、今頃私は取り返しのつかない過ちをおかしていただろうな。本当にありがとう、萌黄くん

ひな:い、いえそんな! 顔を上げてください銀太郎さん!

謙一:そういえば、結局あのことは話していないんですか? 萌黄さんが銀太郎さんのことをす――

ひな:ぶるぁっしゃいっ!!

N:素早い手さばきで謙一の口にチーズケーキをねじ込む萌黄ひな

謙一:フゴ、フゴゴゴ

銀太郎:ん? 萌黄くんが俺のことを、なんだって?

ひな:そんなことより! 今日はこの子のことについて話すために集まったんですよね!

怪人:ウナー

N:萌黄ひなは、テーブルの上にいる丸いスライムのような見た目のプルプルに指をさした

銀太郎:ああ、そうだった

謙一:いやーまさか、あの怪人デビルなんとかの中身がこんな見た目だったとは

N:説明しよう。キューティー☆ピーチたちの聖なるエネルギーによって全身を構成する悪意を浄化された怪人ベルファーム以下略は、結果的に本来の純粋な姿を取り戻すことになったのだ

銀太郎:きっと人間社会の負のエネルギーを浴び続けたことによって、世界への憎しみを具現化したような姿になっていたんだろうね…

ひな:残酷な話ですよね…

怪人:ウナー

銀太郎:それで、萌黄ひなくん…いや、魔法少女シャイニー☆レモンさんに、お願いがあるんだ

N:銀太郎は、かつてとは見違えるような熱い炎のともった視線を萌黄ひなに向ける

ひな:ふぇ!? な、なんでしょうか!?(キュン

銀太郎:この怪人…いや、ベルは…俺に引き取らせてもらえないか?

ひな:え? あ、はい。べつに大丈夫ですけど、なんでですか?

銀太郎:俺は少しだけ分かる気がするんだ、コイツが世界を憎むようになってしまったその理由が。でも同時に今回の一件で気づくことが出来たんだ。この世界には、ムカつくことと同じくらい嬉しいことが溢れてるんだって。だから、俺がコイツと一緒にいてやることで、もっと好きになれればいいなって思うんだ……人間てやつを……

ひな:銀太郎さん……

謙一:俺も、それが一番いいと思います

銀太郎:そうか。二人とも有難う。……お前はどうだ、ベル

怪人:ウナー

銀太郎:そうか……ありがとう。俺頑張るよ

謙一:これにて一件落着、ですかね

ひな:はい!

謙一:(小声でひなに)萌黄さんの恋の道は、まだまだ遠いみたいですが

ひな:ちょっと謙一くん…!

銀太郎:なんだなんだ!? 二人で内緒話か!?

怪人:ウナー

N:街にふたたび、束の間の平和が訪れる。しかし、それらがあまりにも脆く!儚く!不安定な均衡の上で成り立っていることに変わりはない!

N:魔法少女達の闘いは、これからも続く



 以下、次回予告

N:ふたたび悪は滅された。だがそれもまた一つの始まりに過ぎない。

N:大いなる野望から人々を救うため、また一人少女が立ち上がろうとしていた。

N:次回、『新たなる魔法少女、誕生』

N:この次も、サービス、サービスゥ!







Fin



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